PS Audio GCHA ファーストインプレッション

PS Audio GCHAを購入しました。
http://web.archive.org/web/20080923194404/http://www.psaudio.com/products/gcha_headphone_amplifier.asp
5、6年前の実売10万円程度のミドルハイモデルになります。
http://avic.livedoor.biz/archives/50751591.html
いわゆるアナログアンプで、音色に加工したような癖はありますが、決して色物ではない正統派のHPAです。
(某所では「モニター的というより音楽性重視」と表現されていました)
生産中止になったのがきっかけで、少し前まで4万円弱で買えたそうですが、現在、新品の在庫はなくなったようです。

縦にやや長いため、設置環境を選びます。
個人的にはヘッドホン端子や入力端子が1つしかないのが若干不満があります。
(USBがありますが、そちらは使わないので。)
また、ヘッドホンの抜き差しが若干スムーズにいかない点が気になります。

環境ですが、PCからの接続なので、上流はONKYO SE-200PCI LTDのアナログ出力になります。
主に下記との比較になります。

・傳田聴覚システム研究所 DenDAC
・SE-200PCI LTD - ONKYO A-973(プリメインアンプ)

今回、ヘッドホンアンプを導入する上で期待したことは、
DenDAC並の解像度でDenDACに出せない音域の音が出ることでした。
つまり、DenDACは解像度には不満がなくても、低域が足りない。
付け加えて、聞き疲れしずらいかわり、音にパンチが足りないことが不満でした。
A-973は音域としてはDenDACよりフラットですが、中音域がややへこんでおり、解像度がDenDACに及びません。
(参考までに低価格帯の定番 BEHRINGER AMP800よりはいいです)

このヘッドホンアンプは、低域重視で暖色かつ籠り気味のサウンドと、
Sennheiser HD650は同傾向過ぎて合わない可能性を危惧しましたが、
ONKYO SE-200PCI LTDが中音域よりなのが幸いしてか、違和感はありませんでした。
個人的にはヘッドホンとHPAという差はあれど、聞き疲れしない音、包み込む低音など、
とても良く似ていると思います。
私的にはONKYOSE-90PCIに近いバランスに感じます。

聞いていて特徴的だったのは、下の3点です。
・音が空間的に感じられる。
・主旋律やベースは音の芯がはっきりとしている。細かい音もしっかり聞こえる。
・今まで自然には聞き取れなかったメロディの音程が意識せずに分かる。

何のジャンルでも今までの環境より、
特に、HD650が苦手とする打ち込み音の表現が底上げされた感じが強く、
HD650がオールマイティに近く感じられるように鳴りました。
ただし、ロックには若干の不満があり、またそれぞれの得意ジャンルではDJ1 PRO、HD25-1IIには及びません。
Sennheiser HD25-1IIでは、悪く言えば低音がボンボンとなるように聞こえる感じの、
解像度に不満がある感じがほぼなくなりました。
Ultrasone DJ1 PROはケーブルをオヤイデ電気 HPC-62に変えた際に、
やや分解能が向上し、ヘッドホンとしての空間表現の癖が若干薄れた印象がありましたが、
(この空間表現がDJ1 PROの長所であるため、打ち込みでは若干物足りなくも感じます)
最初に感じていた音自体が不自然にきらびやかな印象はなくなり、
元々の解像度の高さが活きているように思えます。

なお、特にロックにおいてDenDACよりは若干聞き疲れする印象がありますが、そこまで極端ではありません。
私的にはA973の方が聞き疲れする印象があります。

総評として、どのヘッドホンでも得意ジャンルの向上はもちろんですが、
苦手な部分が劇的に改善された印象です。
その恩恵を一番が受けているのが、ヘッドホンとしてランクが高く、もともとある程度何でも鳴らせるHD650です。
(HD650が以前より万能に近くなりました。)

現時点で不満はないですが、難点があるとすれば、以下の3点だと考えられます。
・使い分けに向かない
・低音の解像感が若干ですが、足りなく感じる点(低音がそのまま出ている印象を受ける)
・どうしても低音よりの音域バランスでノリやスピード感が足りない

使い分けに向かないというのは、HPAとして味付けが濃いので、どのヘッドホンを聞いても似た印象を受けるということです。
ヘッドホンの曲の向き不向きは分かりますが、特にDJ1 PROのS-LOGICの音場表現がおかしく感じます。
ただ、これらは全てGCHAの特色にも通じるので、このままでいいと思います。

また、色々な曲を聞き比べて感じたのは、特にHD650においてですが、
劇的に表現が変わった曲だけではなく、変化がそれほど感じられない曲も多々ありました。
そのため、逆説的にDenDACのコストパフォーマンスの高さが伺えると思います。