ラブライブ!サンシャイン!! 第06話 「PVを作ろう」 感想

G'zマガジンの初出設定で、サンシャインの浦の星女学院は、
無印の音ノ木坂学院と異なり、廃校「確定」であるという設定と見て、
丸戸史明氏の傑作、「この青空に約束を―」を想起しました。
(ノベルゲームだと、Fate/hollow ataraxiaリトルバスターズ!でも構いませんが。)
日常系作品の隆盛とともに、日常の終わりと向き合う作品が出てきたのは自然なことだと思います。
ある種ゼロ年代的なテーマですよね。
サンシャインは、そういった有終の美、限りある青春をメインテーマに据えるのではないかと想像していました。
ただ、サンシャインも6話を過ぎた現段階では、それは大きく誤解していたと分かります。
そもそも、青春の終わりまで駆け抜けるストーリーということであれば、
それこそμ'sがやり遂げたことなのです。

さて今回、満を持して廃校設定が作中で出ましたが、おそらく視聴者の中で、
物語で、実際に廃校になると感じた人は多くないと思います。
フィクション的なお約束、あるいは作品の必然性から、
廃校という問題は解決されるでしょう。
逆説的に、作品として結末は分かりきっている話という事にはなってしまう。
翻ると、μ'sでさえ、最初のきっかけではあったものの、廃校問題というのは、
彼女たちの動機の中核ではなかったと思います。
それでは、何が作品の主題たりうるかと言えば、
自己認識の問題ではなく、問題解決を現実的に行うという点だと思います。

鞠莉「努力の量と結果は比例しません!
   大切なのは、このTownやSchoolの魅力をちゃんと理解しているかデース!」

非常に10年代的なテーマであると思います。
(自分が好きな作品の中では、ベイビーステップちはやふるですね。)
ベイビーステップに関しては、下記の記事が端的にまとめてくださっています。
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2015-05-15 - 物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20150515/
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スポーツ漫画は数あれど、全くの初心者がプロレベルまで成長するという点で、
これほど説得力のある話はないと私は思います。
LOVeやしゃにむにGOのような、物語的な背景がないのに、読んでいて不思議と面白い。
ちはやふるも、度々触れていますが、私は少女漫画の殻を被ったスポ根漫画だと思って鑑賞しています。
物語的でありながら、恐ろしく細部にリアリティがあるのは、
登場人物の思考が突き詰めて実践的であることに起因するような気がします。
・机くん「やりたいことを思いっきりやるためには やりたくないことも思いっきりやんなきゃいけないんだ(ちはやふる 7巻 第三十七首 p.53)」
・原田先生「”青春ぜんぶ懸けたって強くなれない”?まつげくん 懸けてから言いなさい(ちはやふる 2巻 第七首 p.66)」

また、ラブライブ!に対するラブライブ!サンシャイン!!の位置づけとして、
今回、アトリエシリーズヴィオラートのアトリエを思い出しました。
ヴィオラートのアトリエアトリエシリーズでは5作目に当たるのですが、
初代のパロディが多いのですね。時系列としては繋がっているけれど舞台は離れている。その1作目との距離感がとても近いと感じます。
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経済低迷による過疎化に悩むカロッテ村。
ここに住む少女・ヴィオラート(ヴィオ)の両親は、
カロッテ村を見限り見知らぬ町に引っ越すことになったが、
村を離れたくないヴィオラートは両親ともめにもめた結果、
「両親が引越先で落ち着くまでの3年間は村に残ってもいい、
その間に店を持って立派に暮らしていけるようになっていれば
そのまま村に残ってもいい」という約束をする。
ヴィオは、旅の錬金術士・アイゼルに教わった錬金術を使ってお店を開き、
カロッテ村復興のための村おこしをするのであった。
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特産品のみかんが好きな千歌の様子を見ていて、不意にヴィオラートのことを思い出しました。
郷土愛といえばいいでしょうか。
地元の産物が好きだという思いは、とても尊いと感じます。

アトリエシリーズは作品にはよりますが、
アイテム作成を突き詰めるゲーム性のためか、非常に実践的なテーマを盛り込むことが多いです。
バッドエンドもなかなか強烈で、
2作目のエリーのアトリエや、3作目のリリーのアトリエでは、
「金」を量産すると、錬金術の暗黒面に陥ってしまいますし、
何もせずに怠惰に過ごすと、それ相応の結末が待っています。
14作目のアーシャのアトリエは、神隠しで失踪した妹のニオを探す主人公の物語ですが、
何も行わない場合、ニオは別の登場人物に助けられて戻って来て終わります。
これは、結末だけを誰かに与えられても意味がないという、
なかなか皮肉が効いているEDだと思います。
(アトリエは、この種類のEDを最初に見てしまうともったいない!)
だからこそ、頑張った際のエンディングは、前向きで素晴らしいのです。
特にマリーの研究者ENDや、ヴィオラートのブリギットEDは好きですね。
越智善彦氏のマリーとエリーのアトリエ ザールブルグ錬金術士も、
二次創作ではありますが、その良い部分を受け継いでいると思います。

閑話休題。今回、PV作成回ということで、
ラブライブ!第1期第06話「センターは誰だ?」のような展開になると想像していました。
ただ、無印第1期第06話はタイトルの通り、学年が上の矢澤にこではなく、
発起人の高坂穂乃果がμ'sの中心であるという確認回という位置づけが明瞭でした。
・PV作成回
Aqoursとして、学校・地元にどう貢献できるか
・3年組の過去の布石
特に4話以降感じることですが、1話に2つ以上のテーマを詰め込んでいるので、
情報量が非常に多いと思います。
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なぜコードギアスなのか。情報圧縮論のモデルケースとしてのコードギアス - 未来私考
http://d.hatena.ne.jp/GiGir/20080530/1212196167
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千歌「私、心の中でずっと叫んでた。助けてって、ここには何もないって。でも違ったんだ…。
追いかけてみせるよ!ずっとずっと…この場所からはじめよう!」
ラブライブ!サンシャインの初出のキャッチフレーズである、
「助けてラブライブ!」の由来が明らかにされました。
ラブライブ!にメッセージ性を見つけるとすれば、
下記の希の台詞だと思います。
希「特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる。
本当にやりたいことって、そんな感じに始まるんやない? 」
千歌はそれにあたって、地方だから、自分は普通だから壁があると考えていたのですね。
それを踏まえて上記の台詞を考えると、
サンシャインは正しく無印のメッセージ性を受け継いでいると思います。
ただ、作品内で、スクールアイドルというシステムがあるから、
ラブライブ!という大会があるから、始められるという話ではなく、
あくまで自主性や自律が重要であるという主題を、今回強く感じました。
(今回、鞠莉に直接答えを聞かずに、自分たちで考えようとした事は、
 好きな事をやりたい時にこそ、実は重要だと思います。
 さらっと物語内にそういうテーマを嫌味なく込められることに、
 サンシャインの物語的な度量の深さを感じるところです。)

2016/08/07。追記。
上記で書いたのは、まさにこれ。
ASCII.jp:ガルパン杉山P「アニメにはまちおこしの力なんてない」 (3_6)|まつもとあつしの「メディア維新を行く」
http://ascii.jp/elem/000/001/173/1173185/index-3.html

下記ブログに載っていたので、引用させて頂きます。感謝。
にぎる。
http://nigiruasobi.doorblog.jp/archives/1059993558.html

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今週のヨハネ様。
Aqoursに入ってから実に活き活きとしていらっしゃって何より。




3年組がスクールアイドルだったのは多くの人が想像した通りだと思いますが、
幼なじみだったのは意外でした。

過去のスクールアイドルの失敗。失敗の理由は、梨子に近いのでは?
モチベーションの不足といえば、それまでですが、
果南はダイヤ・鞠莉がいたからこそ、スクールアイドルを行っていたんじゃないかと。
つまり、μ'sで言えば、ことりや海未のスタンスに近かったんじゃないかなと思います。



3年組は3人一緒に加入になると思います。
早くこういう果南の笑顔を、Aqours加入後に見たいものです。


ダイヤ「お互いに頑張りましょう」
一聴すると、ダイヤは無印の絵里のごとく、
生徒会長として廃校阻止に取り組んでいくという意味でいったように思えますが、
巷で囁かれているように、
3人でAqours加入前にユニットを組む可能性も十分にありえると思います。
(鞠莉が果南にスクールアイドルに誘ってはいますが、
 Aqoursに入るよとは一言も言っていないのですから!)
今回、EDが2年・1年の6人ではなくて、
3年の3人だった事に違和感がありませんでしたか?


曜の挨拶の「よーしこー!」はなかなかおもしろい。
言い終わった後の善子の反応とあわせてようよしに可能性を感じました。



どこかの真姫ちゃんを思い出したのは自分だけではないはず。



廃校という音ノ木坂学院と同じシチュエーションにノリノリの千歌。
コメディ的に見せながら逆にいえば、そこがモチベーションの主題ではないという作品の言明にも思えます。
千歌の動機は良かれ悪かれ、現状はμ'sに近づくことなのですね。


次回予告…うーん。インパクトはすごいんじゃないかな(伊波感