ラブライブ!サンシャイン!! 1期 総括

人気作の続編は本当に難しいと思います。
キャラクターを変えた場合、特に2作目は、
シリーズとしてのフォーマットをどう作っていくかが、非常に重要になるかと思います。

そんな中で二作目として出てきたラブライブ!サンシャイン!!ですが、
実質先代からの引き継ぎなしに始まった作品と言っても過言ではありません。
無印の展開が終わっていない頃にスタートした企画であるため、
否応なしに前作の終わりを意識させられるという意味で、
開始当初は、胸中複雑な思いだった人も少なくないのではないでしょうか。
さて、アニメ1期を振り返ると、恐ろしく生真面目に作られていると作品でした。
・加入にあたり一人ひとりの加入理由を丁寧に描いた
・3年組全員を元スクールアイドルにしたことで、3年生のバックボーンに深みをもたせた
・梨子のピアノ問題(ことりの留学騒動と違い、折衷で解決させた)
・スクールアイドルを通して、地域の魅力を伝えることに創意工夫した(μ'sはそういうアプローチの曲はない、WZはある意味そうでしょうか?)
廃校問題こそ解決してはいないとはいえ、
作中全体で行った事は1期のμ'sより多いと言って差し支えないでしょう。
作品としても、誤解を恐れずに言えば、無印の2期はおろか、1期を上回る隙がない出来だと思います。
(最大瞬間風速は1期3話、2期12話に分がありますが。)

今だからこそ正直に言えば、一番不安だったのが1話を見終えた後です。
主にG's誌上や、ドラマCDとのキャラクターの乖離、
偉大すぎる前作から来る期待値の高さなど、理由は諸々ありますが。
特に5話まで見終えた辺りで、杞憂だと気付きました。
梨子・ルビィ・花丸・善子の加入が、丁寧に描かれていたからです。

サンシャイン!!を作品として考えると、どうしても前作との比較になってしまいますが、
最近、μ'sとAqours高坂穂乃果高海千歌というリーダーの資質の違いに目が行きます。
TYPE-MOON好きなので、サーヴァントスキルで例えると、カリスマですね。
FateだとギルガメッシュがカリスマA+、イスカンダルがA、セイバーがBなのですが、
ラブライブだと、穂乃果がカリスマAで、千歌はBだよなぁと。
(補足として、A-RISEの綺羅ツバサがA+、絢瀬絵里がB。
劇場版のツバサと真姫とのシーンを考えると、
ツバサのカリスマはもう人望の域じゃなくて呪いだよねと。
絵里はカリスマはあるが、迷走すると人をまとめられない。
加入前の絵里はどことなくセイバーに似ています。)
何が言いたいかと言いますと、μ'sは間違いなく穂乃果の圧倒的なカリスマが支えていたグループでした。
それが一概に良いことだとは言えなくて、1期の留学騒動の一因にもなっていたように思います。
無印2期では、1話で穂乃果はラブライブに出る事を最初、拒否しますし、
2話では穂乃果がいなくても曲は完成へ向かいます。
5話では、2年生不在のままで、凛というリーダーを決めることで、Love wing bellのライブが行われます。
ここまでしないと、μ'sは穂乃果というリーダーに頼り切りの状況から脱却できなかったのです。
それに対して、Aqoursは必ずしも千歌個人のカリスマ性がグループをまとめているわけではありません。
ただ、千歌はグループの方向性を決定しているという意味で確かにAqoursのリーダーだと思うのです。
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「私は0を1にしたい。あの時のままで終わりたくない。
それが今、向かいたい所!」
ラブライブ!サンシャイン!! 12話「はばたきのとき」 高海千歌
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実はこの台詞は、前作を引き継いでいるテーマだと思うのです。

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「特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる。
本当にやりたいことって、そんな感じに始まるんやない? 」
ラブライブ! 1期8話「やりたいことは」 東條希
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つまり、やりたいからやってみようの次に、結果が出なかったらどうするかという事が、
サンシャインで8話以降繰り返し語られてきた0を1にするという事だと思うのですね。
0を1にするというという表現は、
ラブライブ!サンシャイン!!1stシングルのカップリング曲「Step! ZERO to ONE」から来ています。
次の解釈はとても有名ですね。
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SUNNY DAY SONG (3、2):ラブライブ!劇場版挿入歌
僕たちはひとつの光(1):ラブライブ!劇場版ED
MOMENT RING(リング→輪):ラブライブ!ファイナルシングル
Step!Zero to One (0→1):ラブライブ!サンシャイン!!1stシングルC/W
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実はゼロワンが登場したときには、まだMOMENT RINGは未発表だったので、
0に当たる曲がないなぁと感じた人も多いと思います。
それもあって、ファイナルシングル発売後、
MOMENT RINGはライブ開始前のいつものポーズだよねという解釈が出てきて、
綺麗にパズルのピースがはまった感覚だったのを覚えています。

μ'sファイナルライブ後、「μ'sとみんなの夢が永遠になった日」というキャッチコピーがCUTに掲載されましたが、
シリーズとしては、Aqoursのライブ開始前のポーズはそれを解き放つ意味合いもあるように思えます。

手のLの文字は劇場版でありましたね。

さて、サンシャイン!!本編の話に戻ります。
9話の3年生加入は名シーンでした。

展開として、安易な予想を外しつつも、これしかないというシーンを見せられると、
キャラクターが生きているという気がします。

2期を迎えるに当たって、一つ気がかりなことがあります。
無印では1期でグループとしての問題をほぼ解決して盤石になっていたため、
6話・7話では中だるみしていたのではないかという気がしました。
少なくとも1期ほどの密度は2期には感じられませんでした。
(その分2期は、12話の「KiRa-KiRa Sensation!」→「僕らは今の中で」の流れが最高ですが。)
サンシャイン!!も1期で、Aqoursというグループの問題がほぼ解決したため、
平たくいうと、2期で1期ほど密度を落とさずに、やれることはあるのだろうかということです。
μ'sは音楽性で一度方向転換していると個人的には感じています。
具体的には、1期は、逆境があってもひたすら前向きに進もうというテーマ性を感じますが、
2期以降は応援歌のような清涼感を感じます。
ススメ→トゥモロウSTART:DASH!!No brand girlsに顕著ですが)
同じ作曲家の方で比べると、No brand girlsと、Super LOVE=Super LIVE!が分かりやすいですかね。
No brand girlsは、リスアニVol.14.1の対談でもパンクだよねという評が載っていましたが、同感です。
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1.パンクロッカーは何事にも従ってはいけない <アナーキーの精神>
2.パンクロッカーは自分の行動に保険をかけてはいけない <ノーフューチャーの精神>
OVERDRIVE 「キラ☆キラ」
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キラ☆キラとラブライブ!を両方知っている人はあまりいないかもしれませんが、
No brand girlsを聞いていると、キラ☆キラの「君の元へ」を思い出します。
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壁は Hi Hi Hi 壊せるものさ Hi Hi Hi 倒せるものさ
自分からもっとチカラを出してよ
Hi Hi Hi 壊せるものさ Hi Hi Hi 倒せるものさ
勇気で未来を見せて
そうだよ覚悟はできた
μ's「No brand girls
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いつの間にか引かれてたレール
壊しながら歩いてきたけれど
ぼくらの足跡いくつ残ってるだろう
だけどまだ進みたいんだ 先へと
第二文芸部「君の元へ」
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閑話休題ラブライブ!全体の展開を見れば、一期の曲の方が特殊と言っても良いかもしれませんが、
そこに惹かれた人も多いと思うのですね。
0を1にしたAqoursは、2期でどこを目指すのでしょうか。
μ'sははっきりしていましたね。
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「人間その気になれば何だってできるよ!
ラブライブに出るだけじゃもったいない。
この9人で残せる最高の結果、優勝を目指そう!」
ラブライブ! 2期1話「もう一度ラブライブ!高坂穂乃果
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ラブライブ!サンシャイン!!の今後の展開として、
2期・劇場版という無印同様の展開は外して来ないであろうという期待はしています。
まだしばらくサンシャイン!!には、楽しませて貰えそうですね。
まずは、第2回センター投票、リトルデーモンとして、ヨハネ様に一票を投じたく。
http://gs.dengeki.com/sunshine_tohyo/